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医療施設統計とは、何年ごと、推移は?都道府県別や市町村別の調べ方を解説

2026.01.22

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    2026/1/24 04:53

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    日本の医療提供体制を把握する上で、最も基本的かつ重要なデータが「医療施設統計」です。医療経営の分析、マーケティング、あるいは地域医療構想の策定など、幅広い分野で活用されています。しかし、統計には「動態」と「静態」の2種類があり、更新頻度や調査項目が異なるなど、正しく理解していないと実務で誤った判断を下すリスクがあります。

    今回はは、医療施設統計が何年ごとに行われるのかといった基本から、最新の施設数推移、さらに都道府県や市町村別の詳細なデータを取得する方法まで詳しく解説します。

    医療施設統計の基本概要と法的根拠

    まずはじめに、医療施設統計がどのような目的で、何の法律に基づいて実施されているのか、その全体像を確認します。

    医療施設統計は、全国の病院および診療所の分布や整備状況を明らかにすることを目的とした統計調査です。この調査は、統計法に基づく「基幹統計」として位置付けられており、非常に高い信頼性と重要性を持っています。

    主な調査項目は、施設の種類、開設者、診療科目、病床数、従事者の数など多岐にわたります。これらのデータは、厚生労働省が策定する医療計画や、地域医療の適正化を図るための基礎資料として利用されています。

    根拠となる法規については、医療法第25条に基づく報告や、医療施設統計調査規則(昭和28年厚生省令第25号)によって詳細が定められています。

    ~Tips:基幹統計とは~
    国が作成する統計のうち、特に重要と認められ、統計法に基づいて指定された統計のことです。正確な統計を作成するために、対象者には報告の義務(報告義務)が課せられています。

    医療施設統計は「何年ごと」に実施されるのか?周期と種類

    次に、医療施設統計の実施サイクルと、それぞれの調査が持つ役割について解説します。

    医療施設統計には、大きく分けて「静態調査」と「動態調査」の2種類が存在し、それぞれ実施されるタイミングが異なります。

    3年ごとに行われる「静態調査」

    静態調査は、3年に1回、10月1日時点での全医療施設の実態を詳しく調査するものです。直近では2020年(令和2年)、2023年(令和5年)に実施されました。この調査では、施設の設備や診療機能、従事者の詳細など、項目数が非常に多いのが特徴です。

    毎月行われる「動態調査」

    一方で、動態調査は毎月実施されています。これは、医療施設の開設、廃止、休止、再開、あるいは病床数の変更といった「変化」を捉えるための調査です。都道府県知事等からの報告に基づき、毎月末時点での概数が公表されます。

    利用者が「最新の施設数を知りたい」と考えた場合、通常はこの毎月更新される動態調査の結果を参照することになります。

    調査の時期
     (1)静態調査 3年ごとの10月1日(国への提出期限11月下旬)
     (2)動態調査 開設・変更等のあった都度(同 翌月20日)

    厚生労働省 - 医療施設調査(基幹統計) 調査の概要 調査の時期 より

    医療施設統計における「動態調査」と「静態調査」の違い

    実務でデータを扱う際に不可欠な「動態」と「静態」の概念的な違いを確認しておきましょう。

    統計を利用する際、最も多くの人が混乱するのがこの2つの使い分けです。以下の表で違いを整理します。また、以下に示すのは医療施設調査の内容ですので、他の統計調査の場合は異なることもあります。

    項目

    静態調査(医療施設調査

    動態調査(医療施設調査)

    実施周期

    3年ごと(10月1日時点)

    毎月(月末時点)

    調査の目的

    ある時点における詳細な実態把握

    施設の増減や変更などの動きを把握

    調査対象

    全国の全施設(悉皆調査)

    開設・廃止等の届出があった施設

    調査の対象
     (1)静態調査 調査時点で開設している全ての医療施設
     (2)動態調査 医療法に基づく開設・廃止・変更等の届出を受理又は処分をした医療施設

    厚生労働省 - 医療施設調査(基幹統計) 調査の概要 調査の対象 より

    動態調査:変化の追跡

    動態調査は、今月は何件新しいクリニックができ、何件が閉院したかという動きを追います。地域ごとの医療資源の増減をリアルタイムに近い形で把握するのに適しています。

    静態調査:構造の把握

    静態調査は、例えば、その病院にどのような高度医療機器があるか、専門外来の種類は何かといった詳細な分析のための細かいデータを集めます。

    医療施設数・病床数の推移

    過去から現在に至る医療施設の数の変化と、そこから読み取れる日本の医療課題についてご紹介します。

    近年の推移を見ると、病院数と診療所の数には対照的な傾向が見られます。

    病院数の推移

    病院数は、長期的には減少傾向にあるように見えます。これは、医療機能の分化・統合が進んでいることや、経営上の理由から統合されるケースが増えているためと推測されます。特に、小規模な病院が減少する一方で、高度な医療を提供する大規模病院への集約が進んでいる傾向があります。

    診療所(クリニック)の推移

    一般診療所の数は、緩やかな増加傾向、あるいは横ばいで推移しているとみられます。特に、都市部における専門特化型のクリニックや、在宅医療に注力する施設の増加が目立ちます。歯科診療所については、飽和状態と言われつつも、一定の数を維持しているようです。

    病床数の変化

    病床数全体としては、医療費の適正化や入院日数の短縮、在宅復帰の促進(地域包括ケアシステムの推進)により、減少傾向にあります。特に「療養病床」から「介護医療院」への転換など、国の方針を反映した構造変化が統計データからも読み取れます。

    都道府県別・市町村別データの調べ方

    実際に地域別の統計データが必要になった際に、どこからどのように取得すればよいかご紹介します。

    地域ごとの詳細なデータは、厚生労働省のホームページや、政府統計の総合窓口である「e-Stat」から取得できます。

    e-Stat(政府統計の総合窓口)を活用する

    市町村別の細かいデータや、過去数年分の推移を比較したい場合はe-Statが便利です。

    1. e-Statで「医療施設統計」を検索

    2. 「データベース」から必要な項目を選択

    3. 「地域」の選択で、都道府県レベルだけでなく「市区町村」まで掘り下げて選択

    二次医療圏単位での分析

    医療機関のマーケティングや経営計画では、市町村単位よりも「二次医療圏(複数の市町村を合わせた、入院医療が完結する圏域)」単位でのデータが重要になることが多いです。e-Statのデータを利用して、市町村別の数値を二次医療圏ごとに合算して分析することをお勧めします。

    ~Tips:二次医療圏とは~
    一般的な医療(入院)をカバーするために設定された地域区分です。都道府県が策定する「医療計画」の基本単位となります。

    統計データを実務やマーケティングに活用する際の注意点

    統計データを解釈する際に陥りやすい罠と、より精度の高い分析を行うための知見についてご紹介します。医療施設統計は非常に強力なツールですが、以下の点に注意が必要です。

    確定数と概数の違い

    毎月公表される動態調査の結果は「概数」です。後日、修正が加わった「確定数」が発表されるため、厳密な学術論文や長期計画を立てる際は、確定数を確認する習慣をつけましょう。

    届出ベースのタイムラグ

    動態調査は「届出」に基づいています。施設が実際に閉鎖してから届出が出るまでに数ヶ月のタイムラグがある場合があり、現場の肌感覚と統計上の数字が一時的に乖離することがあります。

     <動態調査>
    (1)保健所を設置する市の市長(指定都市の市長を除く。)又は特別区の区長は、診療所の開設・廃止等の届出(下記参考を参照)を受けたときは、その都度、届出に基づいて医療施設動態調査票を作成し、毎月1日から月末までに作成した分を取りまとめ、都道府県知事に、都道府県知事が定める期限までに提出する。

    厚生労働省 - 医療施設調査(基幹統計) 調査の概要 調査の方法及び実施系統 より

    カテゴリの定義変更に注意

    過去の推移を追う際、例えば「療養型病床群」から「療養病床」への名称変更や、介護保険制度の導入による施設の分類変更など、制度改正によって統計の分類が変わっていることがあります。単純な数値比較ができない年があるため、統計表の注釈を必ず確認してください。

    正確な統計理解が精度の高い意思決定を生む

    医療施設統計は、日本の医療提供体制の今を映し出します。医療施設統計を活用することで、根拠に基づいた医療政策の理解や、精度の高いビジネス戦略の立案が可能になります。まずは一度、e-Statでご自身の地域のデータを検索してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

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    当記事の執筆者

    CIT経営開発事務所 代表
    井上 隆寛(いのうえ・たかひろ)

    IT・事業コンサルタント
    IT・開発エンジニア
    行政書士R6合格者未登録

    大手システム開発会社にてフルスタックSE兼Webデザイナーとして従事。2021年にコンサルタントとして独立し、企業に対するITコンサルティング・ソリューション導入支援事業を開始。2023年にはイベント企画・運営事業を新たに展開、2024年には行政書士試験に合格。現在はIT・AIコンサルティング、システム開発、エンターテイメントの3事業を柱に、企業の技術顧問や講師としてICT教育やプログラミング授業も手がける。