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法律入門 | 民法基礎 総則編
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民法基礎
全体像・民法総則編
法務部や法律に関する実務を行ったことがない方が、初めて法律を勉強する際におすすめなのが民法です。行政書士試験や司法試験でも民法は出題があります。日常の出来事にあてはまる内容が多いので理解しやすい、ということもおすすめの理由です。今回はこの民法を全体像から解説していきます。
2015年
創業
120名
従業員数
2.3M
月間UU
1,800戸
管理戸数
はじめに・講座の進め方について
まず、よくある民法の勉強法として、いきなり総則に入って意思能力(後ほど解説します)から勉強していく、というものがあると思います。
ですが、法律の学習をしたことが無い方はいきなりここで挫折してしまうことが多いです。
この場合の進行方法というのは、
「全体像」➡「大項目」➡「個別条文①」➡「個別条文②」➡「個別条文③」・・・
といった流れで理解していく方法です。
本講座ではこういった枝葉末節をいきなり細かく説明するのではなく、
まず民法の全体像をつかみ「民法の中に何の項目が書いてあるのか」を確実に理解します。
そこから
「全体像」➡「大項目」➡「個別条文の理解」➡「大項目」➡「全体像」➡「大項目」➡「個別条文の理解」
といったように、今勉強している範囲が民法全体のどこの範囲なのか、を確認しながら進めていくものになります。
こうすることで、個別の条文でつまづいたとしても、どんどん先に進めながら全体を把握しつつ、学習をすすめることができます。
そして通常の学習方法よりも、前後を高速で行き来することにより、アナロジー思考が働き、1つ前の項目でわからなかったことが、5つ先の項目を読んだら理解できた、といった関連性からの理解を生み出すことができます。
このような理由から全体像を意識した方法で講座を進めていきます。
【ご注意】
本講座は法律初学者に向けてわかりやすく伝え、挫折せずに学習を続けられることを最も重視して制作しています。そのため、一部法律の解釈や考え方に疑義が生じる部分もあるかと思います。予めご了承ください。
全体像を見る
まず、民法は1冊の本だと思ってください。
同じように、憲法も1冊の本、商法も1冊の本、行政法だけはシリーズもの、ハリーポッターのようなものだと思ってください。
この民法1冊のストーリー構成は以下です。わかりやすくコメントもつけます。
・総則(そうそく)人が権利を主張するときの、基本的なことを定めます。
・物権(ぶっけん)モノの権利について定めます。
・債権(さいけん)目に見えないタイプの権利について定めます。
・親族(しんぞく)家族と親戚との関係について定めます。
・相続(そうぞく)相続について定めます。これだけです。民法に書かれていることはこれしかありません。
つまり、権利についてあれこれと定めるものなんですね。
よくよく考えるとなんだそんなことか、と思ってくれると嬉しいです。
民法=身近な権利について定めるもの
では全体像から一歩踏み込んで各テーマを見ます。
・総則(そうそく)人が権利を主張するときの、基本的なことを定めます。
└・能力など人について
└・意思表示など行為について
└・時効などについて
・物権(ぶっけん)モノの権利について定めます。
└・動産について
└・不動産について
・債権(さいけん)目に見えないタイプの権利について定めます。
└・債務について
└・契約について
└・不当、不法について
・親族(しんぞく)家族と親戚との関係について定めます。
└・婚姻について
└・親子、養子、親権について
└・後見などについて
・相続(そうぞく)相続について定めます。
└・相続
└・遺言いっきに増えてびっくりしたかもしれませんが、ここは落ち着いて上からよく読んでみましょう。
初めてきく言葉もあるかもしれませんが、ほとんど知っている言葉ではないでしょうか。
細かい条文は置いておいて、民法とは上記が書かれている1冊の大きな本なんだ、ということをイメージできるようにしておきましょう。
このページを印刷しておいて、定期的に自分が今どこを勉強しているのか?を思い出すようにしてみると良いでしょう。
総則について
それでははじめのテーマ「総則(そうそく)」について解説をしていきます。
まず「総則」という言葉が聞きなれないですよね。
これは何なのかという話なのですが「最初にまず基本的なことを定めますね」ということだと思ってください。
民法における基本的なこととは、
「人の優先順位を決める」ことです。
民法は「権利」について定めているとお伝えしました。
その権利の話をするときに、事前に優先順位が決まっていないと困ることがあるのですが、思いつくでしょうか。
例えば、このような例があります。
・「土地」の権利の話をしたい時に、そもそも地主が認知症だったらどうなるのか
・子供が良くわからずに高額商品を契約してしまったらどうなるのか
・お金持ちの人が調子にのってタダでくれた車を、返せと言われたらどうなるのか上記はぞれぞれ権利に関わる話をしています。
これらは2人以上の人間の「優先順位が決まっていないと解決できない問題」なんです。
明確に優先順位が決まっていれば、その優先される人が権利を取得したり、または契約をなかったことにしたりできますよね。
民法の総則ではおおむね「権利と優先順位」について定めていると思っておいてください。
総則の各項目
総則の構成は以下のようなものでした。
・総則(そうそく)人が権利を主張するときの、基本的なことを定めます。
└・責任能力など人について
└・意思表示など行為について
└・時効などについてちなみに、
大項目のことを「編(へん)」
中項目のことを「章(しょう)」
小項目のことを「節(せつ)」
といいます。さらに小さい項目もあるので以下に示します。
編
└章
└節
└条
└項
└号例えば「保佐人」という制度に関する条文だと、
第一編 総則
└第二章 人
└第三節 行為能力
└第十三条(保佐人の同意を要する行為等)
└1項(被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。)
└一(号)元本を領収し、又は利用すること。
└二(号)借財又は保証をすること。
└三(号)不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
└四(号)訴訟行為をすること。
・
・
・
└2項(家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。)
└3項(保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。)
・
・
・
といった構成になります。
今は覚えなくて大丈夫ですが、全ての法律はこのような階層構造で書かれていることを知っておいてください。
項目の説明もこの階層構造で行っていきます。
それでは今回学習する「民法の総則」の各項目を見ていきましょう。
【第一編】総則(人が権利を主張する、基本的なことを定めます)
└【第一章~第四章】(能力など人について)
└【人】
└【権利能力、意思能力】
└【行為能力】
└【法人】
└【物】
└【第五章】(意思表示など行為について)
└【法律行為】
└【総則】
└【意思表示】
└【代理】
└【第六章、第七章】(時効などについて)
└【期間の計算】
└【時効】「総則」には、上記以外の項目もあるのですが、今回はこれらの項目に絞って解説していきます。
民法 権利能力、意思能力(第二章 第一節、第二節)
現在の解説箇所はこちら▼
【第一編】総則(人が権利を主張する、基本的なことを定めます)
└【第一章~第四章】(能力など人について)
└【人】
└【権利能力、意思能力】まず、①権利を取得したり、義務を負ったりすることのできる地位は、いつから発生するのか、というと「生まれた時」に始まります。
(権利能力)
第三条 1項
私権の享有は、出生に始まる。
そして、これは日本の法律なので外国で生まれた人はどうなるのかというと、②外国人にも権利があります。
(権利能力)
第三条 2項
外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。
ここまでは「誰に権利があるのか」という基本的な部分です。
ところで、第二章「人」では「人の能力」に関して定めています。
能力としてもう一つ、「意思能力」というものがあります。
(意思能力)
第三条の二
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
「法律行為」とは、商品を買ったり、お金を貸したり、物をあげたり、といった様々な行為のことを指します。
そして、この様々な行為をするにあたって、③「意思能力」を持っていなかったときは、その行為は「無効」になる、ということですね。
④意思能力とは、自らがした行為の結果を判断することができる精神的能力、のことです。
一般的に意思能力がないとされている人の例
・10歳未満の子供
・認知症を患っている人
・重い精神病を患っている人
・泥酔している人
このような人たちがした契約などの行為は「無効」になるということです。
細かく言うと、勝手に「無効」になるというよりは「無効」を主張できる、という感じです。
泥酔しているときに、全財産あげるよ、と約束したとしても、シラフに戻ってから「無効」を主張できる、ということです。
では、ここまでのまとめです▼
①権利を取得したり、義務を負ったりすることのできる地位は「生まれた時」に始まる。
②①の権利は外国人にもある。
③「意思能力」を持っていない者がした「法律行為」は「無効」になる
④「意思能力」とは、自らがした行為の結果を判断することができる精神的能力で10歳くらいになると身につく
民法 行為能力(第二章 第三節)
現在の解説箇所はこちら▼
【第一編】総則(人が権利を主張する、基本的なことを定めます)
└【第一章~第四章】(能力など人について)
└【人】
└【権利能力、意思能力】
└【行為能力】「意思能力」がない場合「無効」にできるのですが、10歳になると意思能力があると言われることになりますので、
例えば高校生がよく調べもせず、高額なスマホを契約してきた場合は「無効」にできない、ということになります。
この場合泣き寝入りになるかと言われると、世間ではそのようなことにはなっていないと思います。
それは①「行為能力」が制限されている場合は「契約を取消しできる」という定めがあるからです。
「行為能力」とは何かというと、②単独で法律行為を行う能力、のことです。
③未成年者が法律行為をするには、親権者など(法定代理人といいます)の「同意」を得なければならない、とされており、単独での法律行為を制限しています。
(未成年者の法律行為)
第五条1項
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
第五条2項
前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
未成年者以外にも、単独で法律行為をさせると危ない人がいると思います。
例えば物事の判断があやしくなってきた高齢者が、高いツボを買わされるとか、話にのせられて土地を売ってしまうとか・・・
このような人たちも同じように守ってあげる必要があるので「法律行為に制限をかける」ことができます。
そして、④制限をかけられた者のことを「制限行為能力者」と言います。
民法で定められている「制限行為能力者」は
・未成年者
・成年被後見人(せいねんひこうけんにん)
・被保佐人(ひほさにん)
・被補助人(ひほじょにん)
です。未成年者は年齢により制限がかかりますが、⑤成年被後見人、被保佐人、被補助人は「成年後見制度」を利用して、制限行為能力者となります。
「成年後見制度」では、本来制限されていない人が制限されることになりますので、本当によいのかどうかの判断として「家庭裁判所での審判」が必要になっています。
(後見開始の審判)
第七条
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
(成年被後見人及び成年後見人)
第八条
後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
(成年被後見人の法律行為)
第九条
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
「成年後見人」とは「成年被後見人」のサポートをする者のことで、「未成年者」でいうところの「親権者」のような存在です。
「未成年者や成年被後見人」などの本人がした契約を、⑥取り消したり、場合によっては同意したり、するのが「親権者や成年後見人」という関係性ですね。
そして「親権者や成年後見人」は⑦「代理」することもできるので、本人の代わりに、妥当な金額のスマホを契約してあげたりもできます。
では、ここまでのまとめです▼
①「行為能力」が制限されている場合は「契約を取消しできる」という定めがある
②「行為能力」とは単独で法律行為を行う能力
③「未成年者」が法律行為をするには、法定代理人の「同意」を得なければならない
④行為能力に制限がある者のことを「制限行為能力者」と言う
⑤「未成年者」は年齢により制限がかかり、成年被後見人、被保佐人、被補助人は「成年後見制度」を利用して、制限行為能力者となる
⑥「親権者や成年後見人」は「未成年者や成年被後見人」がした契約を、取り消したり、場合によっては同意することができる
⑦「親権者や成年後見人」は「代理」することもできる

・本講座の制作
CIT経営開発事務所
・監修
CIT経営開発事務所 代表
井上 隆寛(いのうえ・たかひろ)
IT・事業コンサルタント
IT・開発エンジニア
行政書士R6合格者未登録
大手システム開発会社にてSE兼Webデザイナーとして従事。2021年にコンサルタントとして独立し、企業に対するITコンサルティング・ソリューション導入支援事業を開始。2023年にはイベント企画・運営事業を新たに展開、2024年には行政書士試験に合格。現在はIT・AIコンサルティング、システム開発、エンターテイメントの3事業を柱に、企業の技術顧問や講師としてICT教育やプログラミング授業も手がける。
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