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データサイエンス統計 | 統計調査 統計法規

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統計調査
統計の種類、統計法規

国や公的機関が行っている統計調査の結果やデータの多くは、広く一般に公開されています。これは公的機関が独自に善意で公開している、というものではなく、統計法上「国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする」と明文で定められており、それに従っている、ということです。そしてこのような公的統計は、公共の利益に大きな影響を及ぼすものですから、調査に関し、法律上様々な規定設け信頼性を保っています。統計法規を通して、主要な経済統計や社会統計のデータ利活用に関する、様々な知識を学んでみましょう。

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1 統計の種類

統計には公的機関が作成するものと、民間が作成するものがあります。

統計の種類、用語には以下のようなものがあります。

・公的統計

・基幹統計

・届出統計

・民間統計

・調査統計

・業務統計

・構造統計

・動態統計

<統計の歴史について>

統計(statistics)という名称が登場してから現在まで500年も経っていないと言われています。

それよりも以前から国の統治のために人口などの調査が行われていました。

日本における統計の歴史としては、1871年(明治4年)に当時の大蔵省に統計局が設置されました。

欧米諸国は19世紀初頭には統計局を整備していたので、設置された時期は異なります。

公的統計が歩んできた歴史としては以下のようなものがあります。

19世紀初頭
欧米諸国による統計局の設置

1871年(明治4年:19世紀後半)
日本、大蔵省に統計局設置

1945年
・終戦

1990年代後半
欧米の民主主義国家において、統計は国民のために作成されるべきとの考え方が定着

現代
公的統計は行政目的だけでなく国民や企業の利用も考慮するように
国際比較が可能なように、国連等国際機関により国際標準分類などが作成される

1.1 作成主体による区分

統計を作成した主体によって、「公的統計」と「民間統計」と大きく2つに分けられます。

1.1.1 公的統計

公的統計とは、

国の行政機関、地方公共団体又は独立行政法人等が作成する統計」と定義されます。独立行政法人等には日本銀行も含まれます。

<公的統計の作成主体>
・国の行政機関
・地方公共団体
・独立行政法人等(日本銀行も含む)

公的統計には

・基幹統計

・一般統計

・届出統計(届出を必要とする統計)

があります。

公的統計
└基幹統計
└届出統計(届出を必要とする統計)

1.1.2 民間統計

民間統計とは、団体、企業、大学、研究機関などが作成する統計のことを指します。

研究目的や商業目的など多様な種類がありますが、これら全て民間統計と呼びます。

民間統計は公的統計のように、法律で守秘義務や公表の義務は課せられていません

ですが、各業界団体等は広くデータを公開していることも多いです。

1.2 作成方法による区分

公的統計は作り方によって3種類に区分されます。

公的統計
└調査統計
└業務統計
└加工統計

1.2.1 調査統計

調査で集められた情報から作成する統計を調査統計といいます。

調査票を配布・回収して情報を集めます。

配布・回収の方法として、

・統計調査員による訪問

・郵送

・インターネットを用いたオンライン調査

があります。

調査統計は全数調査と標本調査に分けられます。

調査統計
└全数調査(センサス):対象全て
└標本調査:対象の一部

公的統計では統計の目的によって、全数調査と標本調査、それぞれ実施されています。

<全数調査>
➡対象集団の構造に関する基本的な特徴を明らかにする、標本調査のための母集団情報を作成する
例:
・国勢調査
・農林業センサス
・経済センサス

<標本調査>
➡費用を抑え早期に結果を公表できる
例:
・労働力調査
・家計調査
・生産動態統計調査

1.2.2 業務統計

行政の記録情報などから派生的に作られた統計を業務統計と言います

各種、申請・届出・登録・報告等、行政機関の日常業務の記録から蓄積されるデータに基づくものです。

<業務統計>
➡行政基幹の日常業務で蓄積したデータ
例:
・貿易統計(輸出入の通関書類等より作成)
・犯罪統計(犯罪認知件数、検挙件数等より作成)

1.2.3 加工統計

調査統計、業務統計の情報を加工して作成した統計を加工統計と言います。

複数の基礎資料を元に作成されるものとして作成される統計が多いです。

<加工統計>
➡調査統計、業務統計を加工して作成
例:
・国民経済計算(SNA)
・消費者物価指数

また、調査統計・業務統計を一次統計、加工統計を二次統計と呼ぶこともあります。

1.3 その他の区分

公的統計は、構造統計、動態統計、という2種類の枠組みで分けることもできます。

1.3.1 構造統計

特定の時点の状態を捉える統計を構造統計と言います。

調査対象の情報を、地域別、産業別、規模別、など属性別に詳細な情報を明らかにします。

構造を明らかにするために全数調査を行うこともあります。

1.3.2 動態統計

経時的な変化を捉える統計を動態統計と言います。

構造統計が特定の時点の状態を捉えるのに対し、動態統計は時間軸においての変化に着目します。

動態統計は標本を用いた小規模な統計がほとんどです。

1.4 統計と社会の関わり

政策の企画や立案、評価を行うにあたって、統計は不可欠なものとなります。

そのため公的統計は、法律や政令でその使用が規定されていることがあります。

国勢調査の結果によることが、関連法令等で規定されている例
・議員定数の決定
・地方交付税交付金の算定基準
・都市計画の策定
・防災計画の策定

その他、少子高齢化、街づくりの基礎資料にも活用されています。

~Tips:法律と政令、法令の違い~

結論から言うと、法律を定めるのは国会、政令を定めるのは内閣、という違いがあります。

三権分立では、司法・立法・行政と分けられており、このうち立法というのが法律を定めることです。

そして立法、法律を定めるのは国会によって行われなければなりません。

ですが現代社会は非常に複雑で、全ての細かい事務手続きまで国会で審議していると時間が足りません。

そこで、大枠は国会、法律で決めるので、細かい実施方法は内閣(政府)で決めてください、とバトンタッチします。これが政令です。

例えば、

・所得税法【法律】➡税金を払って下さい、ということを定める

・所得税法施行令【政令】➡具体的な計算式や期限を定める

という関係性になります。

そして法令について、厳密には法令という命令はなく、法律、命令(政令、省令)などをまとめた総称を法令と呼んでいます。

なので法令順守とは、法律だけでなく政令、省令などの命令も守りましょうね、という意味になると言えます。

2 統計法規

日本では統計について、統計法とその関連法令があり、これらに基づいて統計の調査や作成が行われています。

統計法規では、基幹統計や統計調査の種類、調査票、管理義務、守秘義務等、統計をとりまく様々な規定があります。

2.1 統計法

統計法は7章からなる全約60条前後の法律です。

全体像をつかむために各章をご紹介します。

1章 総則
2章 公的統計の作成
3章 調査票情報等の利用及び提供
4章 調査票情報等の保護
5章 統計委員会
6章 雑則
7章 罰則
2.1.1 統計法総則

法律を細かく読んだことがない方もいらっしゃると思いますので、統計法の一条を一度読んでみましょう。

法律では、1条でこの法律を何の目的で定めるのか、ということを明文で規定していることが多いです。

統計法(平成19年法律第53号)
第1章 総則
(目的)
第1条
この法律は、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ、公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。

統計法では1条で、

公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定める

公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り

と定めているため、統計法上では公的統計の作成・提供・整備・有用性の確保について定めているということがわかります。

そして、何のためにそんなことをするのかと言うと、

国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする

とあり、国民経済の発展と国民生活の向上のため、ということになります。

2.1.2 基本理念

全ての公的統計には、統計法上の基本理念が適用されます。

(基本理念)
第三条
公的統計は、行政機関等における相互の協力及び適切な役割分担の下に、体系的に整備されなければならない。
2 公的統計は、適切かつ合理的な方法により、かつ、中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければならない。
3 公的統計は、広く国民が容易に入手し、効果的に利用できるものとして提供されなければならない。
4 公的統計の作成に用いられた個人又は法人その他団体に関する秘密は、保護されなければならない。

まとめると、

行政機関相互の協力、役割分担して、体系的に整備

中立性、信頼性の確保

広く国民が入手、効果的に利用できるよう提供する

秘密の保護

といった規定になります。

また行政機関はこれらの責務を負うことも規定されています。

(行政機関等の責務等)
第三条の二
行政機関等は、前条の基本理念にのっとり、公的統計を作成する責務を有する。
2.1.3 基本計画

公的統計を整備するための基本計画の作成が定められています。

この計画は、統計委員会の調査審議やパブリックコメントなどを経て、閣議決定されます。

基本計画で定められる事項として、

・新規統計調査の創設

・既存統計調査の調査事項の見直し

・匿名データの作成、提供

・オンサイト利用の推進

などがあります。

~Tips:オンサイト・オフサイト~

「オンサイト」とは「現場」という意味の英語が元となった言葉です。

「オフサイト」とは「現地外」「現場から離れた」といった意味で使われます。

オンサイト利用の推進とは「現場で実際的な利用を推進する」という意味になると言えます。

2.2 基幹統計

次に、公的統計の最も重要な「基幹統計」について、統計法上の規定から確認してみましょう。

2.2.1 基幹統計の定義

行政機関が作成する統計のうち、

①法律で直接規定されている国勢調査と国民経済計算のほか、

②総務大臣が、その統計を所管する行政機関の長に協議するとともにあらかじめ統計委員会の意見を聴いた上で指定した特に重要な統計

基幹統計といいます(第二条4項)。統計法上の規定も確認してみましょう。

(定義)
第二条
4 この法律において「基幹統計」とは、次の各号のいずれかに該当する統計をいう。
 一 第五条第一項に規定する国勢調査
 二 第六条第一項に規定する国民経済計算
 三 行政機関が作成し、又は作成すべき統計であって、次のいずれかに該当するものとして総務大臣が指定するもの
  イ 全国的な政策を企画立案す、又はこれを実施する上において特に重要な統計
  ロ 民間における意思決定又は研究活動のために広く利用されると見込まれる統計
  ハ 国際条約又は国際機関が作成する計画において作成が求められている統計その他国際比較を行う上において特に重要な統計

明文にて国勢調査国民経済計算を規定しており、さらに総務大臣が指定するものとして、

全国的な政策の企画立案、実施のために特に重要

民間の意思決定、研究活動に広く利用されると見込まれる

条約、国際機関の計画で作成が求められる、その他国際比較で特に重要

な統計も基幹統計となります。

国勢調査、国民経済計算は法律上、作成しなければならない、とされており、その作成間隔も明文で定められています。

(国勢統計)
第五条
総務大臣は、本邦に居住している者として政令で定める者について、人及び世帯に関する全数調査を行い、これに基づく統計(以下この条において「国勢統計」という。)を作成しなければならない。
2 総務大臣は、前項に規定する全数調査(以下「国勢調査」という。)を十年ごとに行い、国勢統計を作成しなければならない。

(国民経済計算)
第六条
内閣総理大臣は、国際連合の定める国民経済計算の体系に関する基準に準拠し、国民経済計算の作成基準(以下この条において単に「作成基準」という。)を定め、これに基づき、毎年少なくとも一回、国民経済計算を作成しなければならない。

2.2.2 基幹統計の指定

「総務大臣の指定」について、総務大臣は独自にいきなり基幹統計を指定できるわけではなく、

当該行政機関の長に協議するとともに

統計委員会の意見を聴かなければならない

とされています(第七条1項)。

(基幹統計の指定)
第七条
総務大臣は、第二条四項三号による指定(以下この条において単に「指定」という。)をしようとするときは、あらじかじめ、当該行政機関の長に協議するとともに、統計委員会の意見を聴かなければならない。

統計委員会はともかく、なぜいちいち行政機関の長に協議しなければならないのかというと、そもそも総務大臣の所管以外の各行政機関が作成する統計があるからですね。

総務大臣は総務大臣の所管しか面倒を見ませんので、他の行政機関が作成すべき統計を勝手に指定させることはできません。

~Tips:法律上の引用について~

第七条に記載のあるように「第二条四項三号による~~」のような、条文で他の条項の規定をひっぱってきて、当該条文の規定を構成するものは多くあります。

法律を読み解くうえで、他の条項とのいったりきたり、というのは非常に大変な作業ではあるのですが、e-GOV法令検索サービスや、AppStoreで公開されている法律辞典アプリでは、対象の条項へリンクで遷移できるため、非常に理解しやすくなります。

紙媒体の六法や参考書の法文記載は、暗記の際に利用し、理解の段階ではリンク付きのサービスを利用すると学習を進めやすいです。

2.2.3 基幹統計の公示・公表・保存

基幹統計について、公示・公表・保存の規定がいくつかあります。

<公示をしなければならない>
・内閣総理大臣は、国民経済計算の作成基準を定めたとき(第六条3項)
・上記作成基準を変更したとき(第六条3項)
・総務大臣は、基幹統計を指定したとき(第七条2項)
・基幹統計の指定の変更、解除(第七条3項)

行政機関の長は、基幹統計を作成したとき以下の公表が必要です。

<公表をしなければならない>
・基幹統計の結果(第八条1項)
・基幹統計に関し政令で定める事項(以下その事項)(第八条1項)
 └基本情報
  └基幹統計の目的
  └作成の方法
  └用語の定義
  └調査対象の範囲
  └報告を求めた事項、基準期日又は期間
  └報告を求めた者
  └報告を求めるのに用いた方法

ここで「行政機関の長は・・・公表しなければならない」規定されているのと、基幹統計の指定が「総務大臣は・・・」となっていることを比較して考えておきましょう。

統計の作成は各行政機関が行いますので、作成したその行政機関の長が公表するのは自然な流れです。そして基幹統計の指定は、各行政機関が独自に行うとバラバラになってしまいますので、総務大臣がメインで担当する、という役割分担になっています。

<保存に関する規定>

基幹統計は、容易に入手できるよう、長期的かつ体系的な保存措置を講ずることが定められています(第八条3項)。

第八条
3 行政機関の長は、国民が基幹統計に関する情報を常に容易に入手することができるよう、当該情報の長期的かつ体系的な保存その他の適切な措置を講じるものとする。

~Tips:公示と公表の違い~

ニュースなどで「公示」と「公表」についてそれぞれ聴くことがあると思います。例えば、国会議員の総選挙は「公示」されており、予算や不祥事などは「公表」されています。

「公示」というのは「法的効果を伴う正式な通知」を意味し、法律や条令で義務付けられた強力な形式です。公に示すことで、法的な効力が発生するようなものがあります。

ですので公にする形式として、官報や庁舎前の掲示板に張り出すなど、厳密なルールがあります。

一方「公表」というのは、どちらかというと「お知らせ」に近く、その目的も何かの法律効果を得るためというわけではなく、国民への情報共有や注意喚起といったものが主になります。

公にする形式もウェブサイトへの掲載などで済む場合も多いです。

2.3 統計調査

統計を作成するためには調査を行う必要があります。統計法では公的統計の信頼を確保するため、様々な規定が定められています。

統計調査には以下があります。

国の行政機関が行う
└基幹統計調査(9条~17条)
└一般統計調査(19条~23条)

指定独立行政法人等、指定地方公共団体が行う
└届出を要する統計調査(24条、25条)

2.3.1 基幹統計調査(9条~17条)

基幹統計調査とは、国の行政機関が行う基幹統計を作成するための調査です。

統計法では、基幹統計調査の企画・実施・作成・結果の公表など、調査の過程における規定を設けています。

<基幹統計調査の規定>
・総務大臣による事前の承認(9条~12条)
・報告義務(13条)
・統計調査員(14条)
・地方公共団体が行う調査事務(16条及び統計法施行令4条)
・かたり調査の禁止(17条)

2.3.2 総務大臣による事前の承認(9条~12条)

基幹統計は各行政機関が作成し、その行政機関の長が公表します。

ですが、行政機関の長は独自にいきなり基幹統計調査を行えるわけではありません。

基幹統計調査の承認までに、以下のようなステップがあります。

<基幹統計調査の実施、変更、中止>
申請書の提出(行政機関の長)
↓
審査(総務大臣)
↓
統計委員会の意見を聴く(総務大臣➡統計委員会)
↓
承認(総務大臣)

※法律の要件に適合しなくなったと認める場合、
変更、中止を求める(総務大臣➡行政機関の長)

基幹統計調査の変更、中止の際も総務大臣の承認が必要となります。

さらに総務大臣は基幹統計調査が法律の要件に適合しないと認める場合は、行政機関の長に変更、中止を求めることができます。

2.3.3 報告義務(13条)

基幹統計調査を実施する際、対象となる個人または法人その他団体には「報告義務」が発生します。

具体的な報告義務者については、各調査ごとに調査規則など政省令で定められます

実際に基幹統計調査を行う場合、行政機関も被調査者に対し、

基幹統計調査であること

報告義務があること

を示さなければなりません(統計法施行令5条)。

また報告の拒否、虚偽の報告の違反に対し罰則も規定されています(61条)。

基幹統計調査が自分宛や組織宛てにきた際は報告を拒否しないように注意しましょう。

~Tips:義務、努力義務、配慮義務の違い~

法律上、「~しなければならない」と書かれている規定と、「努力義務」や「~配慮するものとする」のような書き方があり、これらは明確に使い分けられています。

義務の場合、法的拘束力を持ち、守らない場合罰則が適用されることがあります。

努力義務の場合、法的拘束力はありません、遵守の程度は当事者次第となります。

配慮義務の場合、義務ほどの拘束力はありませんが努力義務よりは強い拘束力があります。

強さの程度は、義務>配慮義務>努力義務、の関係性になります。

2.3.4 統計調査員(14条)

行政機関の長は、基幹統計調査の実施のために必要があるときは、統計調査員を設置することができます。

統計調査員の詳細については、各調査ごとに調査規則など政省令で定められます。

統計法施行令で統計調査員の設置に関する一部事務を、地方公共団体で行うよう規定する場合、地方公共団体の長(知事等)が行います。

2.3.5 地方公共団体が行う調査事務(16条及び統計法施行令4条)

基幹統計調査は調査事務の一部を、法定受託事務として地方公共団体が行うことができるとされています。

法廷受託事務とは、国が本来果たすべき役割に関わる事務であるが、効率を考えて国から都道府県、または都道府県から市町村に委託された事務のことを言います。

具体的な事務の内容は各調査ごとに政令で定められます。

例:
・国勢調査令
・人工動態調査令
・統計法施行令

ただし、一般統計調査は適用外とされています

地方公共団体が行う調査にかかる費用は、国が全額負担します(地方財政法10条の4)。

2.3.6 かたり調査の禁止(17条)

かたり調査とは、紛らわしい表示や説明をして情報を得る行為のことです。

公的統計の信用に関わるため、明確に禁止しており、未遂も含めて罰金が定められています(57条)。

2.3.7 一般統計調査(19条~23条)

一般統計調査とは、国の行政機関が行う基幹統計調査以外の調査です。

調査の計画の事前承認や手続きは、おおむね基幹統計調査に準じます。

ですが、軽微な変更については総務大臣の承認を必要としません。

一般統計調査は特別の事情がある場合を除き、原則速やかに公表することとされています。

2.3.8 届出を要する統計調査(24条、25条)

基幹統計調査や一般統計調査は、基本的に国の行政機関が行うものでした。そしてこれらには公的統計の信用の確保のため様々な規定おいています。

ですが、公的統計を体系的に整備するには、国だけでなく都道府県などがメインで行う調査も重要です。

そこで統計法では、政令で指定した、特定の地方公共団体や独立行政法人にも、基幹統計調査や一般統計調査と同様の厳密さをもって統計調査を行うような規定をおいています。この調査のことを「届出を要する統計調査」といいます。

<統計法施行令で指定されている指定独立行政法人等・指定地方公共団体>
・都道府県
・政令指定都市
・日本銀行
(令和5年1月時点)

届出を要する統計調査には

届出を要する統計調査の実施者は、あらかじめ総務大臣へ届け出なければならない

総務大臣は、指定地方公共団体が行う、届出を要する統計調査が基幹統計調査の実施に支障を及ぼすおそれがあると認める場合、変更または中止の求めができる

といった規定があります。

また、届出を要する統計調査は

・調査票情報の適正管理義務
・守秘義務
・利用制限

について、統計法の適用を受けます

つまり届出を要する調査については、国が行う基幹統計調査などと同じ基準が都道府県等にも適用されるということです。

2.4 統計データの利用・提供

統計調査で取得した情報は、原則本来の利用目的以外の目的で利用したり提供することは禁じられています(40条1項)。

統計調査で取得した調査票などの情報を「調査票情報」と言います(2条11項)。

(定義)
第二条
・・・
11 この法律において「調査票情報」とは、統計調査によって集められた情報のうち、文書、図画又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)に記録されているものをいう。

統計法では調査票情報の利用を制限しています。

(調査票情報等の利用制限)
第四十条 行政機関の長、指定地方公共団体の長その他の執行機関又は指定独立行政法人等は、この法律(指定コ地方公共団体の長その他執行機関にあっては、この法律又は当該指定地方公共団体の条例)に特別の定めがある場合を除き、その行った統計調査の目的以外の目的のために、当該統計調査に掛る調査票情報を自ら利用し、又は提供してはならない。

ですが、例えば極めて公益性の高い研究を行っている研究機関には、統計データを提供したほうが公益のためになる場合もあるかもしれません。

そこで、特別の定めがある場合を除き・・・利用し、又は提供してはならないとしており、特別の定めがある場合の例外を設定しています(40条1項)。

行政機関の長や指定独立行政法人等が行った統計調査に関する調査票情報については以下のような規定があります。以下規定に該当する場合は「提供、利用」ができます。

<二次利用>
・調査実施者による調査票情報の二次利用(32条)
<提供>
・調査実施者以外の行政機関等への調査票情報の提供(33条)
・調査実施者以外の研究者等への調査票情報の提供(33条の2)
<作成・提供>
・委託による統計の作成(34条)
・匿名データの作成・提供(35条、36条)

ところで、e-Statで統計が提供されていて誰でも見れるではないか、と思うかもしれませんが、e-Statで公開されている統計は調査票そのものの情報ではなく、集計して統計として作成された数値データ等になりますので、例えば機密情報のようなものが無制限に公開されているわけではありません。

また、e-Statで公開されている統計は、そもそもその統計を作成するために統計調査を行ったのであって、目的通り統計を作成しているので目的外の利用にもあたりません。

2.4.1 調査実施者による調査票情報の二次利用(32条)

調査を実施した行政機関の長又は指定独立行政法人等は

・統計の作成
・統計的研究
・統計調査等に係る名簿作成

の場合は二次利用することができます。

用途によっては自分で調査したデータを自分で使う分にはOKということですね。

2.4.2 調査票情報の提供(33条、33条の2)

二次利用は調査を実施した機関が自分で使うという内容でしたが、33条、33条の2に規定のある「調査票情報の提供」については、調査を実施した機関が、自分以外に調査票情報を提供する内容について定めています。

条文が長いので記載しませんが、公的機関高度な公益性を有する研究等を行う者については、調査実施者の判断で利用・提供できる規定があります。

調査票情報の提供(33条)

<利用主体>
・公的機関

<利用内容>
・統計の作成
・統計的研究
・統計調査に係る名簿作成
調査票情報の提供(33条)

<利用主体>
・高度な公益性を有する研究等を行う者

<利用内容>
・統計の作成
・統計的研究

<利用のための要件>
・公的機関が委託する調査研究
・科学研究費の補助のある調査研究
・行政機関の長が認める統計の作成

また、公的機関以外の大学や公益社団、財団法人が行う研究について、提供できる規定もあります。

調査票情報の提供(33条の2)

<利用主体>
・相当の公益性を有する統計の作成を行う者

<利用内容>
・学術研究
・高等教育の発展に資する統計の作成

<利用のための要件>
・大学、公益社団、財団法人など
 └調査研究
 └補助する調査研究
・大学の教員が行う調査研究
・行政機関の長、地方公共団体の長が相当の公益性を有すると認めた学術研究
・大学等の行う教育に直接使用する

注意点として、名簿作成のための提供、については公的機関のみです。調査票情報を使ってさらに調査を行うような動きは公的機関のみに許されていると考えることもできます。

33条の2による、調査票情報の提供を行うとき、その事務の全部を委託する場合は独立行政法人統計センターに委託しなければならない、とされています(37条)。

2.4.3 委託による統計の作成(34条)

調査票情報の提供を行うだけでなく、統計作成依頼を受けて統計作成物を提供する場合もあります。

統計法施行規則に定めのある、利用のための要件を満たす場合のみ利用が可能です。

委託による統計の作成(34条)

<利用内容>
一般からの統計作成依頼に対し、統計作成物(オーダーメイド集計)を提供する。

<統計法施規則で規定される、利用のための要件>
・学術研究の発展に資すると認められる場合
・教育の発展に資すると認められる場合
・官民データ活用推進基本法により指定された重点分野に係る場合

また33条の2(研究者等への調査票情報の提供)と同様に、事務の全部を委託する場合は、独立行政法人統計センターに委託しなければならない、とされています(37条)。

2.4.4 匿名データの作成・提供(35条、36条)

匿名データとは、特定の個人又は法人等の識別ができないように加工したデータのことです(2条12項)。

(定義)
第二条
・・・
12 この法律において「匿名データ」とは、一般の利用に供することを目的として調査票情報を特定の個人又は法人その他の団体の識別(他の情報との照合による識別を含む。)ができないように加工したものをいう。

調査を行った行政機関の長又は独立行政法人等は、調査票情報を加工して匿名データを作成できます(35条1項)。

行政機関の長が基幹統計調査に係る匿名データを作成するときは、統計委員会の意見をきかなければならない、とされています(35条2項)。

そして作成した匿名データは、統計法施行規則に規定の要件のもと、外部に提供することができます(36条)。

匿名データの提供(36条)

<利用内容>
一般利用を目的として特定の個人又は法人等の識別ができないように加工して提供

<統計法施行規則で規定される、利用のための要件>
・学術研究の発展に資すると認められる場合
・国際社会における国益の増進及び国際経済社会の健全な発展に資すると認められる場合
・官民データ活用推進基本法により指定された重点分野に係る場合

また例のごとく、事務の全部を委託する場合は、独立行政法人統計センターに委託しなければならない、とされています(37条)。

2.4.5 調査票情報の理解

統計法では調査票情報を利用、提供できる範囲や要件について厳密に定めていました。

ここで問題になるのが、統計調査で得たどこまでの情報が調査票情報にあたるのか?という点です。

原則、統計調査で知るに至った情報は守秘義務があります(41条)。

ですが、「統計調査で知るに至った情報」と「調査票情報」は別です

以下に調査票情報に該当しない例と、該当する例を挙げます。

<調査票情報に該当しない例>
・統計調査を実施するための準備名簿の作成に当たり、被調査者に対する聞き取り等で得られた記録されない情報
・統計調査員が調査票を配布、回収する過程で知るに至った調査事項以外の情報
・統計調査員に関する情報
など
<調査票情報に該当する例>
・調査票の記入内容
・調査票の記入内容から、氏名および住所を削除した内容(削除したとしても該当する)
など

該当する場合もしない場合も守秘義務や秘密保護の対象にはなりますので注意しましょう。

2.5 統計基準

統計法では、公的統計の統一性や総合性の確保のため、技術的な基準を設定すること、としています(28条)。

公的統計は多種多用ですので、それぞれが独自の基準で作成してしまうと、後で比較したり新しい統計の基礎データとする際とても困ります。

そのため統一された基準で統計を作成することとし、この基準のことを統計基準といいます。

<統計委員会が設定している統計基準>
・日本標準産業分類
・日本標準職業分類
・疾病
・障害及び死因の統計分類
・指数の基準時に関する統計基準
・季節調整法の適用に当たっての統計基準

例えば、日本標準産業分類について、以下のような分類が総務省HPで公開されています。

<総務省 日本標準産業分類 分類項目表より一部抜粋>

大分類 A 農業、林業

大分類 B 漁業

大分類 C 鉱業、採石業、砂利採取業

大分類 D 建設業

大分類 E 製造業

大分類 F 電気・ガス・熱供給・水道業

大分類 G 情報通信業

・・・

中分類以下も細かく分けられています。

<総務省 日本標準産業分類 分類項目表より一部抜粋>

大分類 E 製造業

中分類09 食料品製造業

小 ・ 細

分類番号

090 管理、補助的経済活動を行う事業所(09 食料品製造業)

0900 主として管理事務を行う本社等

0909 その他の管理、補助的経済活動を行う事業所

091 畜産食料品製造業

0911 部分肉・冷凍肉製造業

0912 肉加工品製造業

0913 処理牛乳・乳飲料製造業

0914 乳製品製造業(処理牛乳、乳飲料を除く)

0919 その他の畜産食料品製造業

上記のような基準をもとに各種統計を作成することで、統計相互の統一性を図っています。

2.6 被調査者の秘密の保護

統計法では、調査票情報を提出する国民や企業への信頼を確保するため、適正管理義務(39条)、守秘義務(41条)、罰則などを設けています。

統計調査の実施に係る適正管理義務、守秘義務(39条、41条)

<情報>
・調査票情報
(基幹統計調査、一般統計調査、届出統計調査に係る)

・匿名データ
(行政機関または指定届出独立行政法人等が作成)

・行政記録情報
(行政機関が他の行政機関から提供を受けた)

・事業所母集団データベースの情報
など

<義務を負う者>
・統計調査の実施主体
・業務の委託を受けた者

統計調査を実施した機関等だけでなく、業務の委託を受けている者も対象であることがポイントです。

またたとえ匿名データであっても適正管理義務はありますので注意しましょう。

統計を作成した行政機関等は、一定の要件のもとで調査票情報や匿名データを提供することができました(33条、33条の2)。

そして提供を受けた者にも、適正管理義務、守秘義務、目的外の利用・第三者提供の禁止、罰則を規定しています

提供を受けた者の適正管理義務、守秘義務(42条、43条)

<義務を負う者>
・調査票情報の提供を受けた者
(33条、33条の2基幹統計調査、一般統計調査、届出統計調査)

・匿名データの提供を受けた者(36条)

・上記の者からデータ処理の委託を受けた者

2.7 統計委員会

統計法では、総務省に、統計委員会を置く、と規定されています。

第五章 統計委員会
(設置)
第四十四条 総務省に、統計委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2.7.1 統計委員会の意見

これまでに出てきた、統計法上の規定のうち「統計委員会の意見を聴かなければならない」といった記載があったと思いますが、その統計委員会のことです。

例えば以下のような規定がありました。

(国民経済計算)
第六条
・・・
2 内閣総理大臣は、作成基準を定めようとするときは、あらかじめ、統計委員会の意見を聴かなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(匿名データの作成)
第三十五条
・・・
2 行政機関の長は、前項の規定により基幹統計調査に係る匿名データを作成しようとするときは、あらかじめ、統計委員会の意見を聴かなければならない。

このように、統計委員会は規定によって総務大臣や行政機関の長などに統計に関する意見を述べることができるようになっています(45条)。

また、統計委員会は総務大臣の諮問がない場合でも、公的統計の改善等ついて必要な意見を述べることができます。

2.7.2 統計委員会の組織・任命

統計委員会は13名以内の委員で構成され、基幹統計調査の変更などの諮問案に対して調査審議を行います。

(組織)
第四十六条 委員会は、委員十三人以内で組織する。

統計委員は、学識経験のある者から内閣総理大臣が任命し(47条)、任期は2年です(48条)。

委員長は委員の互選で選ばれます(49条)。

また、統計委員会を補佐するため、内閣総理大臣が国の行政機関の職員を幹事に任命します(44条~51条)。

2.8 その他の規定、事業所母集団データベース等

統計法ではその他、効率的な作成と被調査者(調査を受ける者)の負担軽減のための規定があります。

・総務大臣による事業所母集団データベースの整備・提供(27条)

・行政機関が保有する行政記録情報の提供要請・利用(29条1項)

・行政機関、地方公共団体その他関係者に対する協力要請(29条2項、30条。31条)

参考資料
・経済統計の実際 - 日本統計学会編/東京図書刊
・総務省 統計委員会 HP https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/toukei/index.html
・総務省統計局 HP https://www.stat.go.jp
・総務省 日本標準産業分類 https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/sangyo/R05index.htm

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                  IT・事業コンサルタント
                  IT・開発エンジニア
                  行政書士R6合格者未登録

                  大手システム開発会社にてSE兼Webデザイナーとして従事。2021年にコンサルタントとして独立し、企業に対するITコンサルティング・ソリューション導入支援事業を開始。2023年にはイベント企画・運営事業を新たに展開、2024年には行政書士試験に合格。現在はIT・AIコンサルティング、システム開発、エンターテイメントの3事業を柱に、企業の技術顧問や講師としてICT教育やプログラミング授業も手がける。

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